里親という経験
買い物から帰って整理していると、玄関から居間に通じる廊下で足音がして、足が見えた!
その驚きは言葉では表現できないほど。
この平和な田舎で、るすにするときにも家中全開のままでかけるのが、私の中ではふつうでまさか誰かが入ってくるなんてそうぞうすらしたことがない。
足音の主は、
ずっと、私が里親をさせてもらっていた子。
彼は三才のときから年に数回一週間程度我が家に来て、生活を共にしていた。
今は仕事に着いていて、今日帰ってみたら
開けっ放しのいえに、誰もいないから
留守番していたんだと笑った。
今は車の免許をとるために教習所に通っていること、
そのために一生懸命貯金をしてきたこと、
なかなか難しくて前にすすまないこと、
片方の耳だけピアスをあけたこと、
等々、、、
食事をしながら、お正月以来の出来事をいっぱい話してくれました。
目をとじると、紙オムツを持って不安そうに我が家を訪ねてくれた最初の日のことや、
幼稚園の運動会で親子おどりをしたこと、
家での生活が終わり、園に帰る日には
帰りたくなくて、大粒の涙を流したこと、
様々なことが浮かびます。
少、中、高と成長するなかでも、ずっと我が家に来てくれて、
お母さんと呼んでくれ、
自分の置かれた境遇を恨んだこともあっただろうに、
横道にそれることなく生きてくれている
彼には、ずっとずっと幸せを感じて生きてほしいと願っています。